★神社形式のお寺、天部信仰のお寺★

★神社形式のお寺、天部信仰のお寺★

 先日、雑司が谷鬼子母神に参拝した、友人の家が近くにあるので多少の縁とも思い手を合わせたのだ
が、このお寺どこからどう見ても神社のようなのである。
 本堂は千木、鰹木こそ無いものの権現造りであり、境内には鳥居が林立する稲荷もある、さらには本
堂の裏手にある妙見堂は鳥居に守られる、普通のお寺とは造りや境内の配置が明確に違い、神社形式
そのものなのである。
 ご本尊は鬼子母神なのだが、「神と付くから神社でいいのでは」とも思うかもしれないが早合点はいけな
い、実はこれは天部(諸天)と呼ばれる仏教の諸尊なのである。
 天部とそれを御本尊とする神社形式の寺院のいくつかを紹介しよう、前出の鬼子母神、訶梨帝母(カリ
テイモ)とも呼ばれ、一万人の子供を持つとされる、はじめは他人の子供をさらってきてはそれを食べて
いた鬼であったがある時釈迦如来が鬼子母神の子供を隠した、すると鬼子母神は気が狂わんばかりに
嘆き悲しんだそこで釈迦は「大勢いる子供のうち一人いなくなっても、そのような気持ちになる少ない子供
のうち一人でもいなくなったらどう思うであろうか」といって教え諭した、その後鬼子母神は改心して仏教
に帰依して子供を守る善神となり、法華経の守護神とされる。
 浅草にある待乳山聖天、ここも神社形式のお寺である、ここで祀られる聖天とは歓喜天と言い象の頭
を持つ異形の天部、ご利益が絶大で知られ、七代の運を一代に集める(迷信とも言われるが)と言われ
るくらい強烈なご利益で知られる、歓喜天は元々シヴァ神の子、ガネーシャとされヒンドゥー教の神に起
源を見出せる、待乳山聖天は日本三大聖天の一つなのだが、他のニつのお寺も神社形式で埼玉県の
妻沼聖天は権現造りの本堂で境内には末社もあり本堂前の香炉がある事以外はここも神社にしか見え
ない、生駒聖天ここは行ったことが無いのだが物の本によれば鳥居があるそうである。
 もう一つ紹介しよう『参拝日記神仏習合編』で紹介した豊川稲荷東京別院もそれである、その御本尊ダ
キニ天もその起源はインドの ヒンドゥー教の神シヴァ神の眷属である、前述の二つと違うところはさらに
日本の神と習合したことである。
 もうお気づきとも思うが、天部信仰とは仏教伝来以前に確立された神仏混淆なのである。

 仏教はヒンドゥー教やバラモン教から派生した宗教なのだが、土着のそれを真っ向から否定、排斥する

ようなことはせず、それを巧みに取入れて布教の道具としていったのである。
 さて天部の「天」とは何であろうか、このあたりに神社形式の寺院の秘密が隠されているのだが、仏教
の世界観、十界六道の天上界に住む神々の意で、如来、明王、菩薩の諸仏が悟りに導く仏教オリジナ
ルの諸尊に対し、天部は庶民的な土着の神々である日本の八百万の神々と近い性格と言えよう、ゆえ
に神社形式というのもうなずける。
 神仏習合その考え方の起源はここにあるのである。  
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